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Canone
規範性と多元性の歴史的諸相


belvedere
 Canoneとは、本研究会の研究テーマの鍵概念である「規範」を表わすイタリア語です。語源は古代ギリシア語のKANΩNで、こちらはもともと真っ直ぐな棒を意味し、そこから物差しや定規、そして比喩的に基準、模範、規範的原理などの意味になりました。しかし、たとえばキリスト教史のなかでは聖書の正典や聖者録などを意味するように、何を模範や規範とするのかは時代と状況によって異なります。さらに現在では、この言葉は音楽の技法や活字の種類まで、多様な意味をもっています。このようにcanoneという言葉は、規範性を意味するだけでなく、その内実が歴史的に規定されていることをも示し、そしていまやそれ自身が多様性・多元性を具体化しているのです。われわれの研究も、過去および現在の思想や芸術におけるさまざまな規範やモデルの分析を通じて、そこに具現している文化や歴史との関わりと多様な精神活動のあり方を明らかにすることを意図しています。
 最後に、なぜイタリア語なのか? じつはイタリア語のcanoneには、英・独・仏語では不在かすでに廃れてしまった、しかしきわめて現代的な意味が生きのびています。すなわち(定期的に払う)納付金、料金。たとえば受信料。われわれは、規範の成立を可能とした社会経済的条件、そして現在の日本におけるCOEプログラムの経済的意味についても、注意深くありたいと願っています。
(この作品について)

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Last Updated: 2005/12/16
京都大学大学院文学研究科
「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」 
22研究会
canone-hmn@bun.kyoto-u.ac.jp