古代世界における学派・宗派の成立と<異>意識の形成 VAADA

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Newsletter No.4

2004年3月8日発行

目次

●第2回中間報告書(要旨)
●第4回連続研究会中間報告(3月20日まで継続中)
●講演会のご案内
●今後の活動予定
●編集後記

第2回中間報告書(要旨)

 2004年1月末にVAADA研究会の第2回中間報告の提出をおこないました。この報告は、近日中に他の研究会の報告と併せて出版する予定になっています。その内容は、VAADA研究会の前半期の主な二つの研究成果、即ち、昨年夏前に行われました第3回連続研究会における成果と、本研究会の主目的の一つでありますオンライン研究会の成果の一部です。このNewsletter 4においては、その要旨のみではありますが、以下に報告いたします。


1) 既に前回のNewsletter 3 にて報告いたしましたアイザクソン博士(ペンシルベニア大学)を座長として行われました第3回連続研究会の成果として、同研究会において読解しましたジャヤンタ作『アーガマダンバラ』の和訳を提出しました。この和訳は、第3回連続研究会に遠路東京より参加した片岡啓(東京大学東洋文化研究所・助手)氏によってなされたものです。精度の高い日本語訳を提供して下さった片岡氏には心より感謝いたします。

2) 本研究会の主眼の一つでもありますWeb利用による共同研究システムの構築に関しましては、現段階は、様々な問題点を解決しつつそのシステムを構築している過程です。完成にはもう暫く時間が必要です。完成次第Web方式のシステムへの移行を目指していますが、今回の報告では、メーリングリストを利用してなされた『六派哲学集成』序章をめぐる討論の成果を提出しました。この序章に関しては、本研究会の徳永宗雄教授(京都大学文学研究科・サンスクリット文学)によって試訳が提示され、それに対し多くの有益な意見がオンライン上で取り交わされました。特に、『アーガマダンバラ』の読書会の中心となっていただいた本研究会メンバーであるアイザクソン博士(ペンシルベニア大学)からは多くの貴重な意見が提出され、活発な議論が展開されたところです。報告書ではこの間の議論をまとめた形での試訳と注を発表しております。残りの部分に関しましては、『六派哲学集成』の他の幾つかの章も含め、夏の本報告書において提出することになっておりますので、各章を担当する方々は準備をお願い致します。

第4回連続研究会中間報告


 すでに、VAADA研究会のホームページ上にて随時報告させて頂いていますように、昨年10月より(10月、11月、1月、2月、3月の計5ヶ月間)、サンスクリット学の権威であり、本研究会のメンバーでもありますアクルチカル教授(ブリティッシュコロンビア大学)が京都大学文学部の招聘教授として本学に滞在されており、同教授を中心としてインド古典の読書会が開催されております。この第4回連続研究会において採り上げているのは、インド古典の中でも最重要、かつ最難関で知られているバルトリハリの『ヴァーキャ・パディーヤ』第2章「ヴァーキヤ・カーンダ」です。このテキストの正確な理解を目指し、バルトリハリ自身の注釈とされるヴリッティと、プンヤラージャによる注釈(ティーカー)も併せて読解しております。参加者による英語の試訳を中心に、アクルチカル教授が、文献学、思想史、哲学など様々な観点から論じ、参加者とともに種々の議論を行っております。本研究会には、学内のメンバーだけでなく、服部正明京都大学名誉教授(インド哲学史)をはじめ、桂紹隆広島大学教授(インド学・仏教学)、八木徹大阪学院大学教授(インド古典文法学)、小川英世広島大学助教授(インド哲学・文法学)、和田壽弘名古屋大学教授(インド哲学・論理学)、畝部俊也名古屋大学助教授(インド哲学・文法学)など他大学からも、日本を代表するインド哲学・文法学の研究者の方々が参加されております。また、本学、及び広島大学のインド哲学・仏教学を専攻する若手の院生・研究者も積極的に参加しております。さらには1月末の研究会からは、同じく招聘教授として京都にご滞在中でVAADA研究会のメンバーでもあるヴェツラー教授(ハンブルグ大学)にも加わっていただくなど、国内外の著名な先生方にご参加いただき、毎週土曜日の午後2時から午後7時まで5時間におよぶ活発な研究会が行われております。

 同研究会で新たに明らかにされつつある多くの知見は、文献学的、思想史学的にも様々な面に及び、今後、アクルチカル教授自身による校訂本、翻訳、研究の出版となって明らかにされると同時に、参加者の中からも、数々の研究成果が発表されることが期待されます。最近の研究会において示された非常に有益な知見をひとつ挙げますと、2月7日に行われました研究会において、第31詩節のヴリッティ本文の一部が、ヨーガバーシャの本文とパラレルになっているという事実を巡り、アクルチカル教授が、インド哲学史の書き換えにも繋がるような非常に重要な指摘をなされました。いずれ詳しい論文として発表される予定ですのでご期待ください。

 この第4回連続研究会は現在も継続中であり、アクルチカル教授が京都に滞在される3月末(3月20日の研究会が最後となります)まで毎週土曜日の午後2時から午後7時まで行われる予定となっております。開催場所等につきましては、VAADA研究会のホームページをご覧頂くか、事務局までご連絡下さい。多くの方々のご参加を歓迎します。

講演会のご案内


 このNewsletter 4において報告しましたとおり、現在京都にご滞在中のアクルチカル教授とヴェツラー教授のお二人には、VAADA研究会のメンバーとして第4回連続研究会に参加いただいております。お二人の講演会は、京都大学文学部のインド哲学史とサンスクリット文学・語学の研究室による主宰で、3月26日の金曜日に行われる予定になっています。タイトルなどは現段階では仮のものでありますが、以下のとおりです。正式なご案内は詳細が決定次第、別にご連絡させていただきます。

 日時:3月26日(金曜日)
 場所:京都大学文学部・第3講義室
 発表タイトル:
  A. Wezler教授:Interior Monologue as a literary device
  A. Aklujkar教授:Rebirth and Poetry

今後の活動予定


 3月13日(土)第4回連続研究集会 (第17回)
 3月20日(土)第4回連続研究集会(最終回)
 3月26日(金)アクルチカル教授・ヴェツラー教授の講演会

編集後記


 前回のNewsletter3から既に数ヶ月が過ぎてしまいました。その間に、新年を迎え、既に春の足音もすぐそこまで近づいております。まず、Newsletter 4の発刊が遅れましたことをお詫びいたします。このNewsletter 4において報告いたしましたとおり、その間も、随時研究会を開催してはおりましたが、連続研究会ということで、一つの区切りをつけることが困難であったこと、そしてこちらの怠慢とが重なりこのような事態となってしまいました。

 本年度は、前半にはクラッサー博士(ウィーン国立科学アカデミー)、アイザクソン博士(ペンシルベニア大学)が来日され、研究会に参加し、国際研究集会において貴重な講演をしていただきました。さらに後半には、上に報告しましたようにアクルチカル教授(ブリティッシュコロンビア大学)、ヴェツラー教授(ハンブルグ大学)という最高の学者をお招きすることができ、一年を通じて非常に有益な議論を行うことが出来たと考えております。

 VAADA研究会は来年度以降も継続が決定しました。春からは、オンライン研究会の方も順次軌道に乗せるようにしたいと思っております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

 また、研究会へのご質問・ご要望等ございましたら、下記のメールアドレスまでご連絡ください。

      VAADA 事務局 (担当:赤羽 律)
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
            京都大学文学部  インド学・仏教学研究室 
                                           TEL: 075-753-2756
E-mail: vaada-hmn@bun.kyoto-u.ac.jp
Webpage: http://www.hmn.bun.kyoto-u.ac.jp/vaada/